石川県の能登半島にある七尾城です。検索結果が「ななお 性格悪い」で出てくる方のななおではありません。
戦国時代の典型的な山城。もはや山なのでgoogleマップもおおざっぱ!O-Zappa!
七尾城全景。城というより・・・やはり山!
七尾城は中世から続く名門畠山氏(足利将軍家と同じ家紋:写真右)の居城でしたが、内輪もめもを繰り返すうちに家臣の遊佐(ゆさ)氏に実権を取られ、気に入らない者を次々と暗殺しまくるという戦国時代でも屈指のクレイジーな城でした。
ということで標識に従って本丸を目指します。最初は民家の庭なのか農道なのか分からない道をひたすら歩かされます。
ここ七尾城は越後の上杉謙信に攻略されました。
畠山氏と敵対する一向宗(僧兵と農民ゲリラ)が、戦国最強の男、上杉謙信を能登に招き入れ、上杉謙信は畠山氏をあっという間に七尾城まで追い詰めます。
元々上杉謙信は織田信長と同盟を結んでいて一向宗とは敵対する立場でしたが、一向宗側に付くことになった手前、大坂で本願寺の一向宗と敵対している織田信長との同盟をこのタイミングで破棄。
能登で一向宗徒をいじめてきた畠山氏は当然織田信長との同盟を守り続けますが、城の前には一向宗が招き入れた戦国最強の男、上杉謙信が降服しろと待ち構えています。
このまま織田に付いて援軍を待つか、上杉に付いて城の囲みを解いてもらうか、でも一向宗との和解は嫌だ。でも腹減った。と様々な思惑が動きます。
地蔵を眺めていると、見知らぬBB…、いや、おばさんが話しかけてきて「これを持って行きなさい」とドラクエ的展開で鈴を渡されました。
おいおい熊出るのかよ、と思いきや「これ、魔除けの鈴」と言われ、見えちゃ行けないものが出るのか・・・と少々気が重くなりつつ「帰りにお返しします」と礼を言って別れました。
ドラクエなら戻ってくる頃には夜になっていてそのB、いや、おばさんの背後に悪魔の影を見て「見〜た〜な〜」から一戦交えるという中ボス登場的展開。七尾城でしっかりとレベルを上げて来なくては・・・いやいや、なんと言う妄想しているんだ。本当に失礼なヤツだな!!
必須アイテムを手に入れ、さて城巡り。というより登山開始です。
他に観光客も登山客もいないので孤独とクモの巣とヤブ蚊とハチとの闘いになります。歩みを止めたら最後。全身にヤブ蚊が襲いかかってきます。
しかし今回はドイツ製の虫除けを使用しましたので、田舎のヤブ蚊には舶来のドイツ製は過去に経験したことがないくらい強烈だったのか、奇跡的に一度も刺されませんでした。ドイツの科学力は世界一!
これより先は畠山氏の家臣しか通ることを許されなかったという「長坂」。続いて「七曲り」。かすかに往時の面影を残しています。ようやく城らしくなってきたか!
三の丸への通路が見えてきました。
近くには近くには七尾城の井戸跡があります。草で何が何やら分かりませんが。やはり城跡には真夏に来ては行けない。
そしていよいよ上杉謙信に包囲されながらも家臣同士で暗闘を繰り広げた暗殺教室、あ、間違えた。暗闘の現場へと近づいて行きます。
随分高いところまで登ってきたな!もう城マニアというより登山者ですよ。
山の尾根のような狭い道をひたすら抜けてようやく本丸手前に辿り着きましたが、本丸にも駐車場があるっぽい看板が!
これは上杉謙信も激怒の裏切りっぷりですね。
ちなみに上杉謙信は畠山氏とは何度か和解しておりますが、最終的に畠山氏の家臣団も織田派と上杉派に別れて最後は上杉派が勝って(暗殺しまくり)、城を囲んでいた上杉謙信に降服します。
ようやく城らしい石垣が!半袖短パンの兄ちゃんとか老夫婦が涼しい顔で歩いていました。ここまでの努力・・・。
でも久々に人の存在を確認してほっとしているのはここだけの話だ!
この辺りまで来ると標識が増えます。というか七尾城の解説もここにあります。おいおい、ふもとからここまで全部七尾城だろがっ!
怒っても無駄ですね。謙信の漢詩を素読して精神を鎮めましょう。そして感じましょう。己の愚かさを。
ということで本丸を目指します。途中、畠山氏の重臣にして上杉派、暗殺モンスター遊佐続光の屋敷跡が。遊佐は織田派の重臣、長続連とその一族を皆殺しにしてしまい、城中を上杉派にまとめ謙信に降ります。
しかし謙信死後、攻め上がってきた織田軍団にあっさり降服するもその裏切りっぷりが許されず処刑されるという何とも因果応報な結果に終わります。
いよいよ登山のクライマックスへ!いや、あくまで城巡りだ!ちなみに石垣は野面積みという戦国初期の積み方です。
この七尾城救援に向かった織田信長の重臣にして猛将、柴田勝家は手取川を越えた後に七尾城降服を聞かされて、引き返そうとしたところを増水した手取川に足を止められ、そこを戦国最強の男、上杉謙信に強襲され、惨敗して帰国しました(手取川の戦い)。
上杉謙信が最強と言われる所以は破竹の勢いの織田軍団に完勝したことにあります。
ということで約1時間かけて本丸に到着。晴れていたので遥か先の能登島まで見えました。
やはり私は晴れ男だと確信しつつ、誰か城のふもとまでクルマに乗せてってくれと心から願うも「魔除けの鈴」を返しにいかないといけないという重要イベントを思い出し、またケモノ道を1時間かけて下りて行くのでした。罠なのか!七尾城の罠なのか!